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床屋さんの話
2009/06/14 00:43

容貌を変えるとき、一番効果が大きいのが髪型を変えることではないだろうか。太ったり痩せたりするのは苦労が多いわりに変化に気づく人が少ないが、髪型を変えるのはハサミひとつで効果絶大である。

その髪型を整えてくれるのが理容師さん。(ここでは床屋さんと呼ばせてもらう)

私の場合、今の床屋さんに通うようになって35年ほどになる。私はまめに散髪するほうではないので年に7・8回程度行くだけだが、それでも35年だと250回。けっこう長いつきあいである。

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子どもの頃は親が連れていってくれた近所の床屋さん。高校生になって、(故郷の田舎町よりは)ちょっと大きい市に通うようになり、気に入った床屋さんを探してうろついた。けっこう気に入った床屋さんを見つけたのだが、そこが店じまいをしてしまい、また遍歴の末、現在の床屋さんに落ち着いた。

この床屋さん(私はマスターと呼んでいるのだが)、県の競技会で何度も優勝したことがあるという技術の持ち主で、カットの仕上がりなども素晴らしい。何度か同じ店でマスターでない理容師さんにやってもらったことがあるのだが、理髪直後は同じように見えても1週間もすると頭の感じがかなり違ってくる。マスターがカットした髪はバランスがとれたまま伸びるのである。

技術だけでなく、気に入っているのがセンスである。床屋探しで遍歴しているときは、自分の気に入ったヘアスタイルにしたいため「そこはもう少し短く」などあれこれ注文するのだが、なかなか思うように刈ってもらえない。そこでまた別の床屋さんに…という具合になるのだが、マスターに出会ったら、ひとことふたこと「こんな感じに」と言っただけで自分が思っていたようなヘアスタイルに仕上げてくれたのである。いや、自分が願っていたよりもずっと格好いい仕上がりだったのだ。

要は、自分のセンスとぴったりの理容師さんと出会ったということなのだろう。センスというものは絶対的な尺度はないわけで、ある人が「格好いい」と思ったものを、別の人は「ださい」と思うこともあるのだが、マスターと私はセンスが合っていたといえるだろう。

床屋さんの客どうしがいっしょになるということは少ない。ひとつの床屋さんの常連は数百人になるのだろうが、一時に店に入るのは数人なのだから常連どうしが顔を合わせることはめったにないわけである。

ところが、知り合いの人と話をしてみると、私と同じ床屋さんに行っているという人がかなりいる。おもしろいことに、私が「この人は着ている物や髪型がセンスいいな」と思っている人が、私と同じ床屋さんに行っているのである。

これも、「センスが合う」という視点で考えると納得できることである。センスが良い人たちがその床屋さんに行っているということではなくて、自分のセンスに合う床屋さんに通っている人たちは(自分から見ると)センスが良く見えるということなのであろう。

さて、そのセンスが私にぴったりのマスターも、35年もつきあっているうちに年をとってきた。60歳を超えて数年になるそうだ。今も技術の素晴らしさとセンスのよさは変わりないが、現役で働いてくれるのはあと数年だろう。

店を引き継ぐ人もいないようだから、マスターが引退すれば、私はまた床屋探しをしなければならない。あまり多くしゃべらなくても自分の気に入った頭に仕上げてくれる床屋さんが見つかればよいのだが……。今のところは、マスターが少しでも長く現役でがんばってくれることを願うしかない。

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